障がい者アートの未来の1つ「まちかど障がい者アートプロジェクト」
ご自身が障がい者福祉の分野で起業し、新しい道を拓いていくまでを綴った『障がい者アートの未来を探して 〜コイントスから始まった起業奮戦記〜』を出版された、障がい者アート協会代表の熊本豊敏さん。
「障がい者アートの未来を探して」熊本豊敏 著
熊本さんは、障がいのある人たちが、もっと気軽に、もっと自由に、そしてもっと自然に自分たちの作品や活動を発信できる場所と、創作活動を通して少しでも経済的対価を得ることのできる仕組みづくりをされています。障がい者アーティストたちの作品をより多く社会に発信し、たくさんの人に見てもらえる喜び、自らの創作活動で経済的対価が得られる喜びを、ひとりでも多くの障がいのある方に届けるために、様々な取り組みをされています。
新たな取り組みの一つとして、建設現場の仮囲いに障がい者アートを活用し、無機質な工事現場の壁を障がい者アートギャラリーとして華やかに彩るというプロジェクトをスタートされました。
このプロジェクトでは、建設現場の仮囲いに障がい者アートを採用することで、作品の利用料の一部が障がい者の皆さんに支払われる仕組みになっており、障がい者の皆さんにとっては作品を広く認知してもらうとともに、創作により経済的対価を得られます。また、企業側にとってはCSR活動の一環として発信できることはもちろんのこと、建設に対して快く思っていない近隣住民への柔和策としても活用でき、さらにSNSを利用した情報拡散の効果も期待ができます。まさにwin-winの関係が生み出せる取り組みです。
そして今回、大規模建設現場だけでなく、戸建て住宅の足場にかかっている現場シートにも、障がい者アートを載せていこうというプロジェクトもスタートしました。戸建て住宅の現場は大規模建設の現場と比べて、近隣住民の方との距離が近く、家を建てていると多くの方が現場を見に来ます。建築会社にとっては、そういった皆さんに自社のCSR活動をPRする機会でもあり、なんといっても、アーティスティックなシートが現場を華やかにします。間違いなく注目されるでしょうね。
まちかど障がい者アートプロジェクト戸建て版
障がい者アート協会が運営するアーティストたちのネットワーク「アートの輪」には、250人のアーティストが参加し、2,000を超える作品が掲載されています。どの作品もとても個性的で、まさにアール・ブリュット*な世界が展開しています。ここに参加しているアーティストたちが、自身の創作活動を通じて経済的対価を得ることはもちろん、作品が様々な場面で活用され、認知され、社会の一部となって役立っていくことが、このプロジェクトの意義だと思うのです。建設業のほかにも、運送業や出版、印刷、小売業であっても連携できるのではないかと思っています。僕たちもさらに範囲を広げて、様々な業種・業態とのネットワークづくりをサポートしてしきたいと思います。
「まちかど障がい者アート戸建て版」に関するお問い合わせはこちらから
https://omoikanebooks.wixsite.com/buliderart
*アール・ブリュットとは、既存の美術や文化潮流とは無縁の文脈によって制作された芸術作品の意味で、 英語ではアウトサイダー・アートと称されている。加工されていない生(き)の芸術、伝統や流行、教育などに左右されず自身の内側から湧きあがる衝動のままに表現した芸術である。フランスの画家ジャン・デュビュッフェ(Jean Dubuffet 1901-1985)によって考案されたことばである。(ボーダレス・アートミュージアムNO-MA ホームページより)
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