読者の求めるものと業界の常識との乖離
漫画はデジタルで読む時代?
「漫画村」などの海賊版サイトを対象にした「サイトブロッキング」が話題になっていますね。政府は月内にも犯罪対策閣僚会議を開催し、インターネットサービスプロバイダーに対する海賊版サイトのブロッキングの要請を正式に決定する見通しだそう。「漫画村」は17日午後に接続不能になりましたね。経済産業省がまとめた報告書(2014年)によると、こういった海賊版サイトによる日本の漫画の推定被害額は500億円とされています。海賊版漫画は「それを見るだけ」なら現行法上違法ではないわけですが、漫画家さんや出版社に利益が回らないとなると大問題です。今回のサイトブロッキングの法案がどういった結果を生むのか注目ですね。
漫画本、いわゆるコミックで、中古本販売大手のブックオフが苦しんでいます。
amazonで書籍を販売している出版社は1,500を超えると言われています。紙の書籍を電子化している割合は、全体で8.3%というデータが出ています。誰でも耳にしたことのある、規模の大きい出版社は20〜50%の電子化率、中小の出版社だと10%にも満たない、もしくはまったく電子化していないというのが現状です。amazonで販売している出版社が、kindleに出しているかどうかというものなので、あくまでも参考数値ですが、それにしても書籍の電子化は進んでいません。
中古本市場の行く末
そのひとつの理由がコミック。電子書籍で読まれている約8割はコミックと言われていて、その状態はkindleでも同じ。中古本販売大手のブックオフを苦しめているのが、このコミックの電子化だといいます。ブックオフで扱っている書籍の主力商品もやはりコミックであり、前述したとおり電子書籍のシェアの8割はコミック。講談社などは、紙の売上不振をデジタル収入でカバーしているといいます。中でも電子版コミックが主力商品だといいます。反面、紙のコミックの売上は落ちているとのこと。アプリになったコミックは、家にいながらにして簡単に新刊を読むことができて、中古のコミックを販売しているサービスでは、1巻目から2巻、3巻と次々に読むことができる。そうなると、わざわざ店舗に足を運んで買うよりもずっと便利です。
ここがブックオフが苦しんでいるところ。その店舗に読みたいコミックがあるかどうか分からない状態で、わざわざ足を運ぶのは面倒という人が増えているのでしょうね。もっと言えばamazonでも中古本が買えます。今後さらにコミックの電子化が進み、そして海賊版ではないとしても、読み放題がどんどん拡大していくことで、ブックオフのような中古本をリアルで販売する業態は苦しい状況になるかと予想されます。
それにしても、電子書籍市場におけるコミックのシェアは大きいですね。個人的には、コミック以外のカテゴリーの書籍も電子化を促進して、データを蓄積しておいた方がいいのではないかと思っています。今後デジタルによるストリーミング、貸し出し、読み放題は主流になるでしょうから。
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