電子書籍を出版する① 企画
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電子書籍
小学校時代から野球を続け、高校までエースで四番だった青年が、ケガで甲子園出場をあきらめることとなった。大学卒業後は、開発途上国と呼ばれる国々を旅をして、「格差」の現実を目の当たりにする。そんな状況下でも子どもたちが見せる「澄んだ笑顔」を見て、「教育で格差をなくす」という思いが芽生えた。そして、青年海外協力隊で赴任することとなったアフリカの地で、生徒たちに野球を教えることになる。
野球を知らない、整列も挨拶も、そしてグラウンドの掃除も出来ない生徒たちに、「身を美しくする」日本式の「躾」によって、生活習慣の改善を促していく。2年の赴任期間中に、時間や約束を守る、掃除や整理整頓、そして礼儀・挨拶もしっかりとできるようになり、チームワークと自信を身に付け、学校のリーダーに成長していった。 彼らの活躍により、ゴミや落書きなど学校内の荒みがなくなった。そして、野球ではアフリカの強豪校にまで上り詰める!
オモイカネブックスから電子書籍で出版された、外薗明博氏の著書『国境を越えたサムライ先生』のあらすじです。
教育関係者や、チームスポーツに携わるみなさんから好評で、先日amazonのKindleからも販売を始めたところ、わずか2日で教育学カテゴリーで22位にランキングされました。自身の体験を本にまとめ、そこには伝えたいことや想いがしっかりと詰まっている。文章は簡潔にまとまっていて、この本からのメッセージがとても伝わりやすい。人気が出ている秘訣はそこにあるのかと思います。
■誰でも出版できるからこそ準備が大事■
電子書籍の登場(kindleの襲来)によって、誰でも本を出版できるようになりました。電子書籍のフォーマットも、EPUBに統一され、制作のためのツールも色々と出てきました。ツールを使わずとも、既存のワープロソフトを使って作れなくもないですね。これまで自費出版で、なかなか世に発信することができなかった人たちも、簡単に作品を流通に乗せることができるようになりました。10年前から考えると、革命的なことだと思います。旧態依然とした書籍出版業界においては、個人が自らの力で出版するということは、考えられないことでした。今後は、セルフパブリッシングの作品の中から、ベストセラーが生まれるのが当たり前になるかもしれませんね。
ただ、本を書いて電子書籍を作って、Kindleで販売すれば売れるということではありません。当然内容が面白いか、読みやすいか、ということがポイントになるでしょう。そのためには、まずは企画をしっかり立てることが重要です。これは、紙の本でも電子書籍でも同じこと。最初の準備がしっかりとされているかどうかで、本の質が決まってしまうと言っても過言ではないですね。前出の外薗氏の本作りも、この企画をしっかり立てることから始めました。
■企画書を作ってみる■
本を作る際に重要になる企画。
まずは全体の構成を考えて、どんな内容の本にして、何を誰に伝えて、何をしてほしいかを明確にすることが大切です。「あのことを本にまとめよう!」と、書くコトが決まったら、まず企画書を書いてみるといいでしょう。企画書を書くことで、本のイメージがより鮮明になって、自分の頭の中も整理されます。
以下の内容で企画書を書いてみるのをお勧めします。
1.タイトル
仮でもいいので、タイトルを考えみるといいでしょう。タイトルは、本の内容を簡潔に表す重要なものです。パターンを変えていくつか挙げてみると良いですね。
2.タイトル補足説明
いわゆるサブタイトルです。より本の内容を興味深くあらわしたものにし、タイトルを補足する内容にしましょう。
3.キャッチコピー
一言で読者の心をぐっと掴むようなものがいいですが、とても難しかったりします。時間をかけて考える必要があるかと思います。
4.ジャンル
実用書、ビジネス書、文芸書など、ジャンルを絞ってターゲットを明確にしましょう。
5.著者名
本名でもいいですし、ペンネームでもいいでしょう。販促でSNSを利用することを考えると、本名で書くことをおすすめします。
6.プロフィール
・略歴
・すでに出版した著書の有無
・ジャンル、テーマに関する専門性の高さ
・マスコミ等への出演の有無
など、本の奥付として掲載するイメージでまとめるといいでしょう。
7.企画内容
ここが大事なポイントです。
・なぜこの本を書くのか?
・出版したい理由
・この本が求められると思う理由
これにより、本を書く意義が整理されていきます。
8.ターゲットとなる読者
より具体的なターゲットを挙げることをお勧めします。一個人を思い浮かべると良いです。
9.デザイン等
・表紙イメージ
・カラー、モノクロ
・挿絵の有無
など
10.その他本の情報
・希望小売定価
・ページ数(紙版として)
・縦書きor横書き
概ね上記10項目を企画としてまとめておくと良いでしょう。この企画をまとめることが、出版に向けて何よりも重要な準備となります。
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