バベルの塔を再び
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電子書籍
ここ数ヶ月、シリア大使館での大使へのインタビューを行い、現在本にすべく制作を進めています。
それまで、仕事で英語に触れることは殆どありませんでしたが、この大使へのインタビューを機に、急激に英語の必要性を感じている今日この頃です。英会話教材もいろいろなものが出ていますね、よく耳にする「聞き流す系」や、往年のNHK講座、アプリにあっては英会話で検索すると五万と結果が返って来ます。いつの時代も需要は高いんですね。僕もいくつかのアプリを入れてみて、子どもの送り迎えの際に、聞いてブツブツとつぶやいています。あとは、わからない単語があってもいいから、英語の本を読みまくるという方法を教わったので、まずは英語のニュースサイトから始めています。
日本人は、高校まで英語を勉強したけど、英語がまったく英語が喋れないという人がたくさんいると思います。僕もその一人です。学習方法の違いや、先生が日本人だったからなど、いろいろ言われますが、今考えるとアウトプットの機会がなさ過ぎたのかなと思いますね。学んでも喋ることなんて殆どなかったですからね。おそらく、僕と同じように英語を喋れるようにしたいと、いろんな学習をしている人がいると思います。いい方法があったら教えてほしいと思うわけですが、近い将来には学習も必要なくなりそうですね。
というのも、ここに来て機会翻訳の精度急激に上がっているから。
機会翻訳で有名なのはGoogle翻訳ですが、2016年末ごろから機械翻訳のアルゴリズムを変え、精度が格段に上がったという話がありました。「そうは言ってもまだまだよ」という人もいますが、それでも確実に技術は進んでいます。
出版業界でも、機会翻訳の波が起きそうです。
電子書籍取次のメディアドゥさんが、文章要約と翻訳の技術に力を入れているとのこと。ディープ・ラーニング(深層学習)の技術を用い、単語と単語の関係、1文とほかの文の関係性を理解させ、重要度合いを分析し、重要な文だけを残して要約を作成する。そして、日本語と英語の同じ文の組み合わせを、たくさん読みこませて、AIに学習させるというもの。そうすることで、翻訳の精度を高めていくそうです。この技術が実現すれば、人間の翻訳家を凌駕するシステムが出来上がるかもしれないと言われています。
出版における言葉の壁は大きいですよね。
国内における書籍市場が縮小を続ける中、海外に市場を見出し、電子化して販売を進めようという動きも見えています。その中で必要とされるのは、やはり翻訳。翻訳を生業とする人に依頼すれば、やはりそれなりのコストがかかります。ダブルチェックやネイティブチェックも必要となれば、かなりの時間を要するわけで。費用対効果を考えると、なかなか海外への販売へ踏み切れない出版社も多いと思います。
僕たちオモイカネブックスも、出版のお手伝いをする中で、英語での翻訳版を必須で出すように推めています。しかし、誰もが英語ができるわけでもなく、ましてや身近に翻訳家がいるわけでもありません。僕たちは社内に英語ができる仲間がいるので、要約やウェブサイトでの紹介文などはお願いできちゃいますが、それでも数万字の本となると、勝手が違いますからね。やはり膨大な時間がかかってしまう。フリーランスや学生さんなど、様々な人的リソースを探してみても、コストが見合わないということはしばしばあります。
そこでAIによる機械翻訳の精度が上がり、さらに安価でできるようになれば、書籍の世界発信は格段に進むでしょうね。そして書籍市場が活性化されるうえ、世界での知識共有が進むと思います。
ー その昔、全ての地は、同じ言葉と同じ言語を用いていた。東の方から移動した人々は、シンアルの地の平原に至り、そこに住みついた。そして、「さあ、煉瓦を作ろう。火で焼こう」と言い合った。彼らは石の代わりに煉瓦を、漆喰の代わりにアスファルトを用いた。そして、言った、「さあ、我々の街と塔を作ろう。塔の先が天に届くほどの。あらゆる地に散って、消え去ることのないように、我々の為に名をあげよう」。主は、人の子らが作ろうとしていた街と塔とを見ようとしてお下りになり、そして仰せられた、「なるほど、彼らは一つの民で、同じ言葉を話している。この業は彼らの行いの始まりだが、おそらくこのこともやり遂げられないこともあるまい。それなら、我々は下って、彼らの言葉を乱してやろう。彼らが互いに相手の言葉を理解できなくなるように」。主はそこから全ての地に人を散らされたので。彼らは街づくりを取りやめた。その為に、この街はバベルと名付けられた。主がそこで、全地の言葉を乱し、そこから人を全地に散らされたからである。「創世記」11章1-9節(wikipediaより) ー
この時築けなかったバベルの塔が、いま人間の手によって生み出されたAIの進化によって、再び築かれようとしています。人間の手を離れ、進化し続けるだろうAIが、新しいバベルを築くことができるのか、これからの進化を楽しみにしたいところですね。
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