基本はやっぱり相手を思うこと
先日編集の教室というものに参加しました。僕たちは、電子書籍事業を進める中で、編集や校正の仕事をしていますが、改めて体系的に学び直そうということで、みんなで参加してみたのです。今回の内容は基礎的なもので、紙の書籍(雑誌)の作り方を学ぶものでした。
書籍を作る際に大事なのは、まずはタイトル。どんなタイトルにするかで読み手に与える印象が変わるのはもちろん、さらに大事になってくるのが、タイトルの位置。これは特に雑誌で言えることですが、タイトルをどの位置にするかで、書店に並んだ際、読者の目にとまるかどうかが決まってしまうんですね。どの雑誌を見ても、タイトルは上の方、それも左上の方に位置しています。重ねてディスプレイされても、読者の目にとまるように考えられているんですね。さらに当然ですが、表紙のデザインもとても重要。タイトルやキャッチコピーを含めて表紙のデザインになるわけですが、その本の顔に部分ですので、どんな写真を使って、どんなタイトルを載せるかによって、読者への印象が大きく変わってしまいます。
また、みなさんも経験があると思いますが、雑誌を買うときには、必ずパラパラっと捲って中身を確認するかと思います。このパラパラが大事で、この時にいかに魅力的なものを見せられるかで、買う買わないが決まってしまいます。
雑誌は右開きが多いため、置いたままページをパラパラと捲る時、大概は左のページが見えるんですね。なので、特に見せたいものは左ページの上に持ってくるのがセオリーになります。もちろん、立ち読みの仕方は人それぞれなので、逆から見られるケースもありますが、ファッション誌などは特にそんな風に見られているかと思います。
さらに、目次。雑誌の目次を見ると、1ページからすべて記載されているわけではなく、特集や特に見せたいページにフォーカスして書かれています。これも読者に対して見せたいもの、読者が見たいと思うだろうことにフォーカスして構成されています。そしてそのコピーも単に内容を説明するものではなく、目次だけ見て「読みたい」と思わせるように工夫がされています。
これは、どんな本にもブログなどにも言えることで、どうしてもこちらが伝えたいこと、聞いてほしいことをキャッチコピーにしてしまいがちですが、読み手には全然魅力的に映らないこともあります。ターゲットとなる読み手が、どんなことに興味を持ち、どんな言葉が刺さるのかを思案しながら、相手の立場になって考える必要がありますね。単純なことだけど、これが本当に難しい。
みなさんが本を作ろうと思う際に、必ず悩みに悩むのが、このタイトル、キャッチ、そして表紙デザインかと思います。色々とテクニック的な本なども出ていますが、一番は読者のことを考えること。読者を思って作るということなんですね。
そのためには、相手をよく知ること、雑誌づくりで言えばリサーチも必要だし、ターゲット層となる人の意見を聴くことも重要。そして自分自身が、作る内容に関して参考になる他誌をたくさん読むことも大切だと思います。
編集の教室で、何か秘策を伝授してもらえるかと思っていましたが、学んだのは一番の基本となることでした。基本に立ち返って、読者のことを考えて今日も編集しよう!
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