情報を精査する力が必要
2011年から始まったシリア騒乱から、すでに6年が過ぎました。
あらゆるニュースがメディアで流され、その話題を聞かない日はないくらい。難民の姿も数多く映し出され、入国した国々での問題行動なども取り沙汰されています。空爆によって破壊された建物や、巻き込まれた人々の逃げ惑うが拡散されるにつれ、「シリアは怖い国」というイメージが、否が応でも植えつけられていると思います。
本来のシリアという国は、夜に出歩いても全く問題がなく、非常に犯罪が少ない安全な国と言われていました。1999年のデータですが、シリアの犯罪率は0.04%、殺人件数は0.95件/10万人。一方日本では、2002年のデータで、それぞれ2.3%、1.10件です(ICPO調査http://aplac.info/gogaku/icpo.html)。2000年以降で数字の変動はあるとしても、少なくともテロリストの国、殺戮だらけの危険な国ではないということが分かります。僕たちは、日々テレビなどで放送されるニュースを見ることでしか、シリアの状況を知ることは難しい。だから、イメージを先行させてしまいます。「中東=シリア=空爆=難民=テロリスト=危険な国」
かくいう僕もそんなイメージを持っていました。
先日ご縁をいただいて、シリア・アラブ共和国大使館へ、取材に伺いました。
迎えてくださったのは、臨時代理大使であるワリフ・ハラビ(Warif Halabi)参事官。初めてお会いするにも関わらず、素敵な笑顔とデーツ入りの、焼きたてクッキーでもてなしてくださいました。
この日は、新たな雑誌の特集ということでお話を伺いに行ったのですが、スタート直後から、知らなかった話、聞いていたことと逆の話、そして捏造された話など、まさに目から鱗の内容ばかり。地図をみながらシリアを取り巻く各国の情勢や思惑、そしてシリアの歴史について伺うこともできました。さらに、シリアの人々の想い、特に国家レベルにおいても、一般市民の生活の現状を改善させるために、日本人の力が大いに必要ということを、強くお話しされていました。
私たちが目にしている今のシリアの状況は、100%虚構ではないにせよ、かなり曲解した内容のものも多く見られます。だからこそ大切なのは、真実を知ること。知って何か行動を起こすも起こさないも個人次第。ただ、知らないというのは、もっとも不幸なこと。そして誤った情報を鵜呑みして、それを拡散するのは愚かしきことだと思います。
僕たちが今進んでいる電子書籍の道は、真実の部分を世に発信し、後生に残していくことであり、物事の本質を捉えて知ってもらう仕組みをつくることです。今回のシリア大使への取材でお聞きしたことは、近い将来確実にみなさんの目に、耳に入ってくるものになるかと思います。ぜひ、みなさんもシリアのことを深く知ってください。そして広く発信してもらえたら嬉しいです。
ますます情報が溢れかえる時代になってきました。情報を得る方法はたくさんあります。ただこれからは、取得した情報を精査する力が、とても大切になりますね。
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