再販制度とストリーミングサービス
再販売価格維持制度、いわゆる再販制度は、出版社が出版物の小売価格を決めて書店で定価販売できる制度ですね。この制度は、独占禁止法で認められています。この制度があるおかげで、書籍や雑誌を全国同一の価格で購入できるわけです。
もし再販制度がなくなると…
・本の種類が少なくなって
・本の内容が偏るようになり
・価格が高騰し
・遠隔地では都市部より本の価格が上昇して
・町の本屋さんが減る
といったことが起こります。
再販制度がなくなれば当然安売り競争が勃発し、書店が仕入れる出版物は売れると思われるベストセラーものばかりになるでしょうね。みせ
専門書や希少な出版物を仕入れることができる書店は随分減ってしまうだろうな。
消費者にとって再販制度はありがたいものだけど、「自由な競争を促進する必要があるのではないか」という議論が以前から出版業界と公正取引委員会の間で行われてきました。出版社が自由に判断してもいいのではないかという意見が多くあがり、出版社が再販する本と値下げを認める本を自由に決めることができる「部分再販」や、発売後一定期間が経過した後は自由に値下げを認める「時限再販」という考え方も出ました。結局公正取引委員会は混乱が生じるかもしれないということで、2001年に再販制度を当面は継続するという結論を発表しましたがね。
アメリカなどではすでに再販制度が廃止されています。
ドイツは電子書籍も再販制度対象に
ドイツでは逆の動きで、現地時間の9月1日から書籍の再販制度に関する法律改正案が正式に施行されたと、「Die Self-Publisher-Bibel」が伝えています。どんな改正案かというと、電子書籍も再販制度の対象となり、販売価格を小売側が勝手に変更することはできないというもの。なので、電子書籍ストア側による無料キャンペーンなどは禁止となるわけです。でも、Kindle Unlimitedなどの読み放題サービスは「販売」ではなく「ストリーミングサービス」と見なされるため、再販制度の対象外になるんですって。なるほど、ストリーミングはそうか。これによって、古参電子書籍販売ストアが読み放題サービスに参入に向けて動き出したそうです。動き早いな。
日本ではどんな動きになるのだろう。いずれ電子書籍も再販制度の対象にするのかな?そうなると、ドイツと同様みんなストリーミングサービスに舵を切るだろうな。そんでもって安売り競争に入っていく?ユーザはいいけど、果たしてそれが電子書籍の本当にあるべき姿なのか。すでにAmazonも楽天も進めている読み放題。そこと逆行するところがあってもいいかと思う。それが僕たちだったりするかな?
いずれにしても再販制度は電子書籍の未来を左右するカギになるかもしれませんね。
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