中村天風 人間の本質
公開日:
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最終更新日:2021/11/11
未分類
天風三部作のひとつ
錬身抄
この本では、特に心身統一法のなかから、身体についてのことをまとめている本です。
健康になるための、呼吸法、睡眠、日常、食に至るまで
心身ともに積極的になる方法を伝えている本です。
一部抜粋して紹介します。
ーーここからーー
肉体と心は、生命を活動させるための道具
現代の人間たちは、自分が人間であることは知ってるんです。
人間であることは知っているけれども、
人間とはなんだということは知らないんだから。
人間というのは、立って二本足で歩いて、
二本の手のあるのが人間だと思ってる。
もっとはっきり言っちまうと、
人間というのは犬や猫と形の違った肉体を持っている、これが人間だとこう思ってる。
そういう人はだから、人間とは何って言えば肉体だと思っている。
したがっておまえはなんだと言や、肉体だとすぐに思う。
人間というのは、本当の人間の正体を突き止めていくと、
何も見えない、感じない、霊魂という気体である。
それで霊魂という気体が現象界に命を活動せしめるために、
その活動を表現する道具として、肉体と心が与えられてあるんだ。
氣というもののは本質はなにか?
宇宙に遍満し全てを生成発展させている
根本主体であり、それが神だ。
元気だしなよ。という会話がありますね。
もともとの氣をだしなよ。
大体こんなときは、落ち込んでいたり、病にかかっているときに
日常的に使われる言葉だ。
こんなところにも、本来の意味が宿っているということを
昔の人がわかっていたんでしょう。
たとえば、絵描きの持つ絵筆、大工の持つかんなと同じようなのが、
命に対する肉体であり、心であるんだということがわからせられた。
その命というものに、限りのない強さと、
喜びと、安心と、平和とが、正しくこれを理解し、
これを正しく応用する人に与えられているという、
ありがたい事実が我々の生命にはあるのであります。
ただ多くの人々は、命と言うとすぐ肉体ということを考えるために、
大変な間違いがそこに出てくるので、肉体に不思議な命の力があるんじゃないんです。
霊魂という気の中に、不思議な働きを行う力がある。
扇風機を動かす本質は何か?
本質から、形が作られて動いていることを
知ることが大切だ。
それはちょうど、
回っている扇風機にあのファンを回す力があるんじゃなくして、
あの風を起こしているファンが回っているのは、電気という不思議なものが、
これを回すという動力を起こしているから。
このたとえでもってすぐ人間というものがわかりそうなものだが、
人間だけは何かこう、肉体に生きる力があるように思っているところに、大変な寸法違いがある。
肉体の生きているのが、
霊魂という気の力で生きているということが本当の悟りなのだが、
この本当の悟りを正しく自分の心に持って生きている人がきわめて少ないために
わずかな不健康な状態が肉体に生じても、
肉体が生きていると思っているものだから、その不健康状態が非常に心配になってくる。
「生きる力」の受け入れ態勢を整えよう
霊魂という気のほうから幽玄微妙な力を送り込んでやることが分量多くありさえすれば、
その不健康状態は直ちに健康状態に復活するというような原理を知らない。
考え方が全然違うために、
したがって人生をもっと尊く生きられるのに、
その尊く生きられる人生を尊く生きてないというような
滑稽なことをやっている人が随分世の中には多い。
おそらくあなた方の大部分がそうであったんじゃないかと思う。今までね。
だから人間の第一に必要なことは、
人間の生命に与えられた生きる力というものが、
肉体にあるんでなくして、
霊魂という気の中にあるということを正しく理解しなきゃいけないのであります。
これが最も正当な自己認証なんです。self comprehensionと言います。
ところが自己認証があやふやなものだから、
ちょいとくしゃみをしたとしても、ちょいと咳がひとつ出てもすぐ、
肉体に命があると思ってるものだから、非常に神経を過敏にしちまう。
結局、心が肉体から離れているときに、
肉体には肉体それ自体の生きる力を受け取る十分な働きが行われると。
自分の本質も氣であり、宇宙の根本主体である神の一部と
自覚し、あらゆるものにそれが遍満している。
これを、頭でわかってもだめですよ。
日常でも、当たり前のように、そういう感覚を持ち
人間に与えられた使命を全うする。
これが、悟りです。
つまり、あらゆるものに大宇宙を創り、生成発展させている
偉大な力と共に、人間も、そのほかのものも
あるということ。
その上で、万物の霊長である人間の使命。
日本人の役割、自分の使命。
命を大切に、しっかり生きること。
これが大切なことなんだ。
けど、心がもしも肉体に消極的に注がれると、
肉体の生きる力を受け入れる受け入れ態勢に妨害が与えられるために、
結局思う存分万物の霊長たる強さを肉体に発揮することができない結果が来るぞと。
だからできるだけ消極的な気持ちで肉体を考えないようにすること。
特に病のときには、病を忘れることに努力しろ。
そういう言葉を静かに味わっていくと、
人間の心の中の思い方考え方、もっとわかり易い言葉で言うと、
人間の健康も運命も、心一つの置き所だということがすぐわかるはずなんだ。
積極的な方面に置いたのと、
消極的な方面に置いたのとは天地の相違がそこに来るのであります。
それを哲学のほうでは、
「心の思考が人生をつくる」という言葉になって表現されている。
私は初めてこのね、
心の思考が人生をつくるという、
ヨーガの哲学の文字を見たときに、ちょっと理解ができなかった。
なんだろう、この心の思考が人生をつくるという言葉は、と。
何しろそれまでいつも、あなた方に私が言ってるとおり、
その当時まだ人生を考える十分の知識が私の頭の中になかったために、
一体この言葉の意味はどういう意味だろうと、少しもわからなかった。
ところがだんだん、だんだん、人生を研究するにつけ、また生命を自分の病を根本として、
ああこうと研究するにつれて、今言ったような重大なことがわかってきたわけなんです。
わかってから以後の私は、それは自分でも呆れるほど、丈夫な体になって。
ただ丈夫なだけならともかくも、そのうえ本当に思いもよらない長生きをこうやって重ねていく幸いを味わっているわけですが。
しかし、静かに世の中を見てみると、
物質文化の非常に進歩している現代。
しかも地上には、なんと病人や不運の人があまりにも多い。
この多い理由は、今言ったような心の思い方考え方、
すなわち心の置き所が積極か消極かということに関係して、
その肉体の生きる力の受け入れ態勢に非常な
消長関係が来るということを知っていないで生きている人が多いがためなんです。
いかがでしたでしょうか。
天風がこれを本にまとめて
72年。
今観ても古くない、真理を伝えてくれています。
石川博信
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