偉人の仕事術 講談社創業者 野間清治
公開日:
:
最終更新日:2019/12/12
偉人伝 ものの見方
講談社創業者 野間清治 人間味溢れる名経営者
日本の雑誌王と後年呼ばれた
出版業界大手の講談社の創業者です。
今、出版業界は過渡期であり変革期ですね。
インターネットから電子書籍、更にはシステム的にはアマゾンの隆盛
コンテンツも大事だが、出版というシゴト自体も変化するときに
きていて、その時代に原点というべきところをみることは
よいことと考えます。
「面白くて為になる」
これが講談社の出版方針です。
しかし、どれが面白いのか、ためになるのか。
カンタンそうで実は深い意味もあります。
近代出版の原点といっても過言でない
講談社の創業者野間清治氏にスポットを宛ててみました。
文学、剣道もどちらも好きだったが、剣道は学生時代にアキレス腱をきって挫折してしまった。
文学では特に「南総里見八犬伝」が好きだったという。
後年だが、剣道家を支援したり会社でも社員に剣道を勧めるなどし剣道社長の異名をとった。
青年時代であるが、群馬県の生まれで東京へ出てきて学校の先生になるべく教員の養成所に入り
卒業後は「給料が一番高い」と沖縄の中学校へ赴任した。
ところがこの沖縄で酒色の味を覚えて借金まみれになってしまい、ついには生活も困るようになり
東京での出直しを図り、教員養成所時代の恩師を頼り何とか東京大学法学部の書記となった。
そんなある日、野間は一つのアイデアが閃いた。
東京大学の弁論部の原稿や教授の草稿をみて
「この原稿を出版したら広く社会、青年たちに役立つだろう」
元々文学は好きなだけに文章をまとめるのはできる、更に近くにも協力してくれる学生もいる。
そこで野間は東京本郷に「大日本雄弁会」の看板を掲げ雑誌「雄弁」を発行する。
創業当初の講談社
この企画はヒットした。当時弁論が活発に行われており、且つ東京大学の弁論は同世代の学生のみならず
他の学生たちにも詠まれるようになる。
そして当時編集者といえば酒飲みといわれた位、酒呑みが集まっていた。
若手編集者達の話であるが、何名かで吉原に繰り出して皆「誰かがお金持っているだろう」
と思っていたが誰もお金を持っていない。
散々騒いだ挙句にお金を持っていない自体に一同は俄然とした。
その中の1人が「御大に掛け合ってみよう」
御大とは野間のことである。
野間は「わかった」といってお金とともに創刊間もない「雑誌」を持たせて
この雑誌は花魁に渡すようにと使いのものに伝えたという。
放蕩をしていた野間は放蕩する側の気持ちもわかっていたということと
少しでも雑誌を広げようということであった。
講談社は創刊の「雄弁」のほかに次々と新しい企画を考えて言った。
「講談倶楽部」「少年倶楽部」「面白倶楽部」を発行し当時雑誌が少ない中で
徐々にヒットしていき、大ヒット作品「キング」が生まれた。
この「キング」の成功により野間は名実ともに日本の雑誌王と呼ばれるようになった。
野間の仕事ぶりであるが、
どんな場合でも満足しなかった。社員がどんなに頑張ってきた企画や仕事であっても
「まだまだ」として考えさせた。このまだまだは後に会社の文化になっていったという。
常に「まだまだ」といって考えさせて、何度も考えてようやく「宜しい」という許可が
降りたという。仕事は相当突き詰めていかないと成らないというものということは
雑誌というのは「企画」が命である。
そのため、とりわけ厳しかったといわれる。
一方では先にあったように仕事を一生懸命やって
羽目を外したりすることには寛容であったそうだ。
また、公共心というものを大事にすることでも有名であり
事業家は社会貢献や奉仕をするこということが理想でありそれを体現すべく
数多くの社会貢献活動を行った。
「成功への近道は道徳的な道を歩むに他ならない」とし精神性や公共心を持つことの
大切さを説いている。
今は日本を代表する出版社になった講談社は当時から
「面白くてためになる」
このために編集会議も朝から始まり次の日の夕方までかかることもざらにあったという。
編集は、会議会議で日もくれる
ということがざらだったという。
むしろ成熟した内容にするために、創りこみ落とし込みをすることが必要だという。
現在は会議時間を極力減らすような傾向にあるが、
むしろ突き詰めるために、とことん打合せをするということが大事なことで
ありそこに、時間をかけることをいとわない。
今でいうコンテンツ産業でもあるのでアイデアこそ財産といえる。
突き詰めたコンテンツはヒットを呼び、共感を得たのである。
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石川博信
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