大物主神は今に伝える 温故知新 崇神天皇の疫病対策
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巡礼記
御神体は三輪山そのもの 一の鳥居 大きさは雄大です
大物主(オオモノヌシ)を祀る大神神社(オオミワジンジャ)は三輪山そのものを御神体としています。
大物主は大国主のもう一つの姿ということで同一神と考えることもあるそうです。
これは神代の時代ですから、残された文献などとにらめっこして推測していくしかないですが
私も以前はそうだと思っていましたが、近頃は違うだろうと考えています。
温故知新 歴史に学ぶ
世界中に猛威を振るっているコロナウィルスですが、
日本でも、疫病がはやり国民の多くがなくなった時期があります。
神武天皇から数えて10代目の崇神天皇のときです。
どうしようもなく、天皇が神のお告げを受けるための寝床をつくり
そこで休んでいると夢に大物主神が出てきて
自稱大物主神曰「天皇、勿復爲愁。国之不治、是吾意也。
若以吾兒大田々根子令祭吾者、則立平矣。
亦有海外之国、自當歸伏。」といいました(これは日本書記原文)
「天皇よ もううろたえるな。天下が治まらないのは私の意志です。
私の子である大田田根子をもって私を祭らせればすぐさまに
疫病はやみ、天下は平安になるだろう。また、海外の国も自ら帰伏するであろう」
天皇は言うことをききそのとうりに子孫を探し
祭りごとをし、さらに大和の入り口二箇所には楯と矛を捧げ
お供えをし祀りました。
こうすることで疫病がやんだというのです。
そして、何故疫病がでたかというと
そもそも、祀りがたりずおろそかにしていた。
ということだったのです。
今でいえば、感謝をするということでしょうか。
そして疫病のもとには入らせないようにする工夫をした。
このようにすることでまた天下安泰になったということです。
今にこの故事は教えてくれているのではないでしょうか。
閑話休題
大物主神の登場
国造りを少彦名とともに行っていた大国主ですが、しばらくするといなくなり(常世の国に帰った)
大国主が途方にくれていると
光の玉(神様)が海を照らしてやってきた。この神こそ大物主だ。
出雲大社(いずものおおやしろ)にある大国主が大物主を迎える様子
大国主が「あなたは誰だ?」
大物主「私はあなたの幸魂(さきみたま)、奇魂(くしみたま)」
続けて「私を良く祀れば、私が一緒になり国を造ろう。そうでなければ国造りは難しいだろう」
大国主「どのように祀ればよいですか?」
大物主「やまとの国の青々とし東の御諸山(今の三輪山)山上に神聖に祀れ」
この会話では、大物主が大国主へ助け舟を出しているという感じですが
更に「斎(いつ)き祀れ」というのは、とても強い言い方で
斎き=神聖に、正常に。という意味からも分かるように特別にせよ、ということにも
聞こえますね。
そして大国主もそれに応えて大物主をきちんと祀ります。
この時期はまだ大国主が国造りをしているときで国譲りをする随分前のことで、
大和地方も大国主が治めていたということが伺えます。
大神神社(おおみわじんじゃ) 神様の中の神様という意味もあるとのこと。
御神体は三輪山そのものであるが、磐座(いわくら)が三つあるそうです。奥の磐座は見ることは出来ないそうです。
大物主は物凄い神様で日本の神様の中でもひと際伝説が多い神様としても知られています。
大物主の話
活玉依比売(いくたまよりいひめ)という三輪山のふもとに美しい姫がいたが、夜になると姿形とも
類稀な立派な男が現れ、時もさほど経たないうちに姫は懐妊してしまう。
両親は怪しんで
「あなたはなせ夫もないのに身ごもったのか?」と聞くと
「名前も分かりませんがとても美しく立派な男が夜になると私の元へやってきます。そうしているうちに子供を身ごもりました」
その男は誰なのか?疑問に思った両親は
「糸巻きに巻いた麻糸にはりをとうして男の衣にすそにとうしなさい」
活玉依比売がいうとうりに行うと糸は、戸の鍵穴から抜けて三輪山の神の社で終わっている。
そして親も三輪山の神様と男の正体を知った。そして糸が三巻きだけ残ったことからこの地を
「三輪」というようになったという。
また、この身ごもった娘はオオタタネコといい、第十代天皇である崇神天皇の御世の時代に疫病が
流行し、天皇の夢に大物主が現れて「我が子孫のオオタタネコに私を祀らせれば国は安らかに治まる」
といい、天皇は三輪山の大物主をオオタタネコの祭司によるお祭をされたところ疫病はぴたりと止んだと言う。
崇神天皇は更に酒人に任命された活日が創った酒を「これは大物主が創った神酒である」と称えたという。
大物主の話2
孝霊天皇の娘で倭迹速神浅茅原目妙姫(ヤマトトトヒモモソヒメ)は大物主と結婚するが、大物主は夜しか通ってこなくて
その顔も見ることができないので、顔を見たいと話をしてみた。
大物主は「朝になれば櫛箱に入っているがその姿を見ても驚かないで欲しい」
朝になり櫛箱を開けるとそこに小さい蛇がおり、驚いた姫は大騒ぎしてしまった。
その姿を見た大物主は恥じて三輪山へ戻っていった。このことから倭迹速神浅茅原目妙姫(ヤマトトトヒモモソヒメ)は
夫との約束を破ったことを悔い、箸で女陰(ほと)を突いて死んでしまう。
このことから姫の墓を「箸墓」という。お墓は日中は人がつくり夜になると神様が創ったという。
大神神社の手水では御神体の一つとされる蛇からも水が出ている
大物主の話3
勢夜陀多良比売(せやだたらひめ)という姿形の麗しい乙女がいた。彼女を見初めた大物主神は丹塗矢に化けて、
勢夜陀多良比売が大便をしているときに厠の溝から流れ下り、その女陰(ほと)をついた。
勢夜陀多良比売はその矢を持って帰り、床に置くと、たちまち、美しい立派な男になった。
大物主神と勢夜陀多良比売の間に結婚して生んだ子が
富登多多良伊須須岐比賣命(ホトタタライスケヨリヒメ)(神武天皇の皇后)になります。
古事記では初代天皇の神武天皇の岳父(義理の父親)にも成っている。
大物主の話4
第十四代雄略天皇が側近のベガルに「三輪の神様を見たい」と命じ、ベガルは三輪山から大蛇を捕らえて
天皇に奉じた所天皇は、挨拶もせず大蛇を見ました。すると大蛇が雷のように大きな音を立て目はぎらぎら輝き物凄い
光を放ったので天皇は目を塞ぎ、恐れて大蛇を三輪山に返しました。この話で「雷の岳」と三輪山の別称が出来たそうです。
大物主(オオモノヌシ)ほど後世に出てくる神様はいない。
これ以外でも色々なエピソードがあるんです。
名前は聞いたことがないけど、家にいる蛇は神様って言うことを聞いたことがあるかもしれません。
また、白蛇は神様の化身だとか・・これらは大物主のことがはるか昔から民間にも語り継がれていた
ことは聞いたことあるかも知れませんね。
大物主神をめぐる様々な説
古事記では海を照らしてやってくる神様ということから、「海(あま))照らす」という捉え方
国譲りのあと、事代主(ことしろぬし)とともに天津神に従い、国津神の代表となった。
天孫降臨後、タカミムスビに八百万の神々の長と任ぜられる。
国譲りのあと、国津神の反乱をきタカミムスビによりその子ミホツヒメを娶らされる
神武天皇の詔により天津神の世になったがまだ政情不安のため大物主の娘と結婚することに
より天津神と国津神の和合を図った。
物主(モノヌシ)というは名前ではなく尊称であり最高の長を表すというもの。
また、モノヌシにはコトシロヌシがつき、最高執行者により政事を行う。
日本の神様の中でも異形を放大物主(オオモノヌシ)は蛇になったり矢になったり
変幻自在です。そして強烈なたたりを呼び起こした収めたりする。
古事記、日本書記では表現にちがいもあり、更に他の伝記でも違いはありますが
物凄い神様です。
末社でも、元伊勢もあり(桧原神社)元出雲もあり大きい山そのものが御神体ですから
1日掛けても見るところはあります。
御神体である山は狭井神社から上ることが出来ますが午前9時から午後16:00までです。
そばには御神水も沸いており、とても美味しく頂けました。
大神神社は一度はお参りすることをおススメしたい神社ですね。
注釈:一霊四魂(いちれいしこん)
*幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)とは、古来よりあらゆる人には
それぞれの強い魂が宿っている。この他に荒魂(あらみたま)と和魂(にぎみたま)とあり
4つの魂と中心なる霊で一霊四魂(いちれいしこん)という。
大国主と大物主を同一神と
みる考えは、荒魂(あらみたま)と和魂(にぎみたま)を持っている大国主が
幸魂(さきみたま)と奇魂(くしみたま)をもっておらず、これを得て、バランスの取れた
神様(一霊四魂)が完成する、ということで同一神と見る向きもある。
石川博信
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