市村清 銀座三愛ビルへの想い
公開日:
:
最終更新日:2017/03/20
日々徒然草
銀座三愛のシンボルビル
銀座四丁目に建つ円形の変わったビルが出来るまでには
様々なドラマがあった。
リコー三愛の創業者は市村清氏です。
戦前は保険の営業から始まって、やがて腕を見込まれて理研に
ヘッドハンティングされてやがてリコーを社名変更を行い、リコピーで
知られる複合機メーカーへ成長したが、市村清は同時にいくつモノ事業を
行っていた。
三愛ブランドで知られる女性ファッションや三愛石油なども手掛けていた。
後年は市村学校という私塾を開催し、元東京都知事の石原慎太郎氏なども
生徒にいた、大変ユニークな経営者としても有名だった。
この銀座四丁目の円形のビルは戦中から戦前で銀座も往年の賑わいがなくなり
闇市で溢れかえっていた。
市村清もこの地で戦中から戦後に小売をしていたが、この土地の一角を
ある老婦人がもっており、土地を売って欲しいと依頼されても
中々売ってくれない。そしてあまりに売って欲しいとひつこいので
正式に断りにいこうと、この地に出向いたところ、市村氏は不在であったが
この日は雪もふっていてとても寒い日だった。
たまたま、居合わせた女性販売員が、老婦人の足元をみて雪でぬれているものを
みて、自分の靴をはかせて、しかもオブって店内を案内したという。
老婦人は、女性販売員の姿勢に感じ入り、「実は私はこのそばの土地の持ち主なのよ」
と女性販売員に伝えると、販売員は特に様子を変えることもなく
「それはわざわざありがとうございました。ゆっくりお店をご覧くださいね」
というように応えたという。
そして店主にあいたいというと、出かけていた市村清がたまたまお店に戻ってきて
それまで土地を売りたくないといっていた老婦人だったが、女性販売員の姿勢
そして市村清との話。
市村には、女性販売員の教育を誉めた後、この土地をどうしたいのか?と、問うと
「銀座は今、闇市だらけですが、銀座はきっと復興する。
そして銀座復興のシンボルタワーをここでつくりたい、
それは日本復興でもあるでんす」
その言葉を聞いて老婦人は感銘し
「私がこの土地をもっているよりも、この方に託したほうが
土地が喜んでくれる、ご先祖様も喜んでくれるだろう」と土地を手放すことに
したとう話です。
これには後日談があり、土地の実際の取引になると、老婦人はお金は任せるといい、
かえって此れには市村がおそれいり、結局当時の市場の値段の2割増しで買うことに
なった。振り返ってあれは当時高い買い物をしたかと思ったが
二度と手に入らないものだった。思えば良い買い物をした、
と振りかえった。
市村の言葉どうりに、銀座は復興し、銀座四丁目のリコー三愛の丸ビルは銀座のシンボルタワー
となり、現在もまだこの地にある。
日本への思い、銀座への思い。
自分を越えた想いが、人を動かし現在まで生きる銀座のシンボルを創った。
三愛グルーフの社是は
「人を愛し、国を愛し、仕事を愛する」
というものだった。
このような社是の元で、市村は様々な事業を行い成功させていく。
銀座のシンボルタワーである丸ビルに刻まれている歴史でした。
石川博信
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