梶山李之 実力経営者伝 リコー三愛創業者 市村清
公開日:
:
最終更新日:2017/02/03
日々徒然草
三愛 人を愛し国を愛し勤めを愛する
銀座4丁目にある三愛ビル ガラス張りの円形の建物は
戦後復興のシンボルでもあった
市村清さんについて知ったのはもう20年以上前、梶山李之氏の実力経営者伝という本の中に登場してきて
それ以来です。
この本は、特に戦後復興について志ある事業家を何名が紹介しているのですが、
(他に大和ハウス創業者の石橋信夫氏や箱根小湧園の創業者の小川栄一氏など・・皆個性溢れる経営者だった)
その中でも市村氏は異彩を放っています。そんなところが好きなんですね。
座右の銘は
「人の行く裏に道あり花の山」
というのがあり、常識の裏をかアイデア社長としても知られていた方です。
銀行員からスタートしたものの就職先の銀行が倒産しその後保険のセールスマンをはじめるが、戦後間もない時期で保険には入るべからずという
家庭が多く、今のように普及していなく非常に売りづらい商品だった。(今でも決して簡単ではないと思います)
懸命に行動するも話しさえ聞いてもらえない日々が続き、もうやめようと年の瀬に妻に相談すると、妻に「折角だから年内までやってみたら」と
励まされた。それまでおとなしい妻で何一つ、主人に意見をすることがなかった妻に言われ、初めて男泣きに泣いたと後年語っている。
じゃ、もうしこしやってみようと、行動を奮起したが大晦日まで行動したが成果もなく、もうこれまでやな・・やるだけやった。後悔はない!と
いっていたら急に来客があり、それは何度も通っていた学校の校長先生だった。校長先生があなたは立派な方だ、よく見たらこの内容はとても良いものだ!
といってくれ、本人、家族も年内にすっきりしたいとその場で契約をしてくれ、また、男泣きに泣いた。
校長先生がきっかけで、保険営業はとんとん拍子で売上げがあがり気がつけばトップセールスマンになっていた。
それからリコーの前身の会社(感光紙)の会社の九州の代理店となり、たちまち業績拡大が始まり、満州や朝鮮まで販路を広げるようになった。
その仕事ぶりを見ていた大河内正敏(理研所長)より理研光学工業(後のリコー)に招かれ理研より独立を果たした。
終戦後、石油会社をつくり外資競合の中羽田空港の給油権獲得したり、リコーでも二眼レフカメラを従来の4分の一ほどの価格にしてし大衆カメラブームを
巻き起こすほど大ヒットを飛ばした。
三愛でもシンボルの銀座4丁目の土地買収でも逸話が残っている。
当時1部区画しかないところで食品販売をしていたが、ある大雪の日に地権者の老婦人が土地交渉の断りに出向いたところ、塗れた足元をみて
女子事務員が自分のスリッパを老婦人に履かせ、かつ抱きかかえるように三階まで案内したことに感激し
土地交渉がまとまり現在の三愛ビルの土地になっている。
その後も西銀座デパート、日本リースなど次々に会社をつくり成功した。
モットーでも幾つか残っている。
書いた約束より口の約束を守れ
成功の秘訣は相手の立場を理解し相手の立場から
物事を見る能力を持つこと
逆境でも悲運でも希望だけは失うな
戦前戦後と活躍した市村清氏は、三愛精神を標榜した。
民が喜べば国が喜ぶ。どうしたら国を富ませ民も喜ぶか・・・多角化経営者の走りのような紹介もされる氏であるけど
分野ではく、心で進める。その心に真心があれば進めるのだ、と語っている。
気がつけば、石油会社、三愛(ファッション婦人服メーカー)、リコー(精密機器メーカー)、デパート、リース会社・・・
業種もなにもばらばら・・それで何故・・との問いに対しての答え。
それ以外でも氏らしい言葉を残している。
社員を本気で叱れ、怒鳴れ、しかし倍の愛情を含ませて。
婦女子の意見を如何に仕事に取り入れるか?
国のため、社員のため、そして自分が情熱をかけれる事業を行うこと
そして晩年は公益財団法人新技術開発財団をつくり科学技術の分野で貢献した個人、法人を表彰する市村賞を運営した。
素晴らしい経営者でした。
石川博信
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