孫子の兵法は今も生きる
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最終更新日:2019/09/15
偉人伝 ものの見方
孫子 中国の春秋時代の武将 日本でも多くの武将に影響を与えた書物「孫子の兵法」で知られる
世には、昔から受け継がれながらいつの時代でも通じる書物がある。
西洋では聖書もあり、中国では、この孫子をはじめ多くの書物が
あり、日本でも源氏物語から平家物語など多くの本が時代を越えて
読まれている。
そこにあるものは、普遍的なことであり、人の世がある限り
読みつがれられるものかも知れません。
今回ご紹介したいと考えた孫子で言えば
戦の本であると同時に、人生諸般に通じ
勝利への道を描いたものとして
戦ばかりでなく、現在では経営や事業に活かすように読んでいる
経営者も多くいるそうです。
長年の風雪に耐えてきた本の重みというのは時を越えた
大きな価値があります。
しかし、やがて人類が更に意識も向上し
戦うということや
相手を陥れるというようなことがない社会にもし
なったとすれば、初めてその価値がなくなるかも知れません。
それまではきっと本の価値を生み続けていくでしょう。
日本からも、このような本がでてくることが
臨まれますね。
永遠のベストセラーといわれる聖書につづいて読まれているとう孫子の兵法
日本でもとてもなじみ深いものがありますね。
戦国最強といわれた武田信玄が旗印にしていた「風林火山」もこの孫子の言葉から
きています。
風林火山は兵の動きについてのことだが、孫子は
「兵は国の大事なり、死生の地、存亡の道、察すべからず」
(戦争は国にとっての生きるか死ぬかの大事だ。良く考えて見通しををもって当らなければ成らぬ」
として、武力による戦争は決して進めているわけではなく最後の手段という前提にたって
その道を説いているということが、白眉な所ですね。
孫子のエピソード
呉の国に招かれて軍隊の指揮法について王から聞かれた。
「畏まりました。今、ここに兵はいませんので侍女たちをお貸しください」
王から借りた侍女たち180人を二手に分けてそれぞれに隊長を命じた。
二人の隊長は王の愛妾であった。
孫子は侍女たちにこういった。
「よいか、私が(右向け右)といったら隊長がそのとうりに号令を掛けてください。(左向け左)の場合も
同様です。これから直ぐ訓練をします」
そして孫子は直ぐに(右向け右)の合図をした。ところが侍女たちは笑っていていうことを聞かない。
孫子は「私の説明が上手くなかったようだ。もう一度説明をします」といい改めて号令について話した。
孫子は「今回も大将たる私の責任だ。隊長も私の号令になれていなかったようだ。もう一度いう、右向け右!」
そして今回も侍女だちは笑っていて号令には従わない。
ここで、孫子は「2回までは私の責任で、隊長への説明不足だった。だが3回目は隊長の責任だ。今度号令に従わなければ
隊長を切る!」と宣言した上で3回目の号令を行った。
しかし、3回目も侍女たちは号令に従わなかった。
さて隊長を切るときいた王は、愛呉を切ると聞き「その二人は私の愛妾です。二人が切られてしまえばどんな上手いものを食べても
味気ないものになってしまう。どうか二人を切ることは避けて欲しい」といいますが、孫子は
「私は王に命じられて侍女たちを指揮しましたが、その指揮に従わなかった侍女の責任者である隊長が切られなければ
軍令にそむいたことになります。それは王のお言葉でも許すことは出来ません。これが軍律であり、これがなければ
軍隊は成り立ちません」
そういうと、王の二人の愛妾の二人を切ってしまった。
これは軍の規律というものと目標を達成するため訓練をすることを王に教える為だったといわれている。
孫子の兵法は木簡で作られて伝えられていた。
孫子のこのエピソードは事実はどうかは不明であるが、これを整理すると
①王は孫子に権限を委譲した。
②侍女たちを二隊にわけてそれぞれ隊長を任命し組織を作った。
③隊長に自分の合図で号令をする権限を与えた。
④訓練の意味で2回目までは命令違反を黙認し、それについては自分も責任があるとした。
⑤3回目は部下である隊長にも責任があるとし処分をした。
⑥軍令にそむいたものは王の助命であっても認めなかった。
現在であっても、企業の部課長ともなればある程度権限も持ち仕事をしているだろうが、
特例としてなんとかしてほしいという場合もあるだろう。戦争とビジネスとの違いは
あるにしても、権限の中でどう目標を達成するかということについては
同じであり、状況次第では更に上官に相談するということについては変わりない。
いずれにしても、指揮、命令系統をしっかり守るということは組織の要諦になる。
孫子の兵法は13編から成り立ちます
現在では状況も武器も違うのでそのまま額面どうりということにはならないでしょうが、
現状に合わせた解釈をすることで大事なことを示唆してくれています。
ここが孫子の兵法が永遠のベストセラーといわれるゆえんでもありますね。
兵は国家の大事である
表現で誤解を生みやすいかもしれませんが、孫子はなるべくなら戦いないで
国を収められれば一番良いが、どうしても戦わないとならないというときがある。
それでも戦わないと成らないときはどうすべきか?
このような視点で書かれていることが多いと思います。
兵は勝つ事を喜び、久しきを貴ばない
戦いは多くの出費もかかる、短期決戦が最上である。
短期でなければ出費もかさむ、そして一番は兵が疲弊したり士気が下がる。
智将は務めて敵に食む
敵を倒すということだけでなく「利用する」のがリーダーです。
例えば兵糧も自軍だけでなく敵方から奪って自軍の兵糧に当てるということも
大事なことです。敵は倒すだけでなく利用するということも大事な視点です。
国を全うするを上として国を破るにはこれに次ぐ
謀りごとにより攻めること、即ち戦わずして勝つことが最上で敵と戦争して
勝つというのは最上ではないということです。
これに近く有名な言葉が
彼を知り己を知れば百戦危うからず
敵を知り自分も知れば百回戦ってもまけることはない。
自分を知り敵を知らなければ状況は五分五分。敵も自分も分からなければ
戦いは危ういとしています。
これは日本では武田信玄が有名です。
徹底的に相手の情報を仕入れ、自軍の情報はもらさず、時によっては偽情報を伝えることもあった。
信玄の考えは甲陽軍艦という歴史書にして家臣の高坂弾正が作っています。
孫子の兵法を学び、実践した信玄の戦い方は日本版孫子の兵法のような意味と
武田信玄の考え方を知るのに役立ちます。
結構具体的な事例もある。自軍の様子だけでなくて相手の様子、考え方なども
記載しており信玄の戦い方が参考になります。
是のゆえに勝兵はまず勝ちてしかる後に戦いを求め、
負ける兵はまず戦いてしかる後に勝ちを求める。
勝利する軍は開戦前に勝利を得て(あるいは確信して)それから戦争をするが
負ける軍はまず戦争を始めて後で勝利を求める。
孫子いわく、民が褒め称えるような派手な勝ち方が最高に優れたものではなく
普通には見分けられない、分からないうちに勝っているというのが最高の将といえる。
そのために事前に相手を確り調べ上げておく必要があります。
凡そ戦いは正をもって戦い、奇をもって勝つ
戦いは正攻法で戦い、状況の変化に適応する奇策で勝つのである。
正攻法と奇策とを使い分けてことに及びたいものです。
攻めて必ず取るものは其の守らざる所を攻めればなり
攻撃をして必ずとるものは相手が守備していないところを責めるからである。
敵の守備が薄いところ攻めやすく勝ちやすい。
どこが攻めやすく勝ちやすいか、考えて進めると言う事。
我はまとまりて敵は分かればて十とならば、是れ十をもって一を攻め
よほどのニッチ市場や地域限定などでなければ大手企業がほとんど分野でトップ市場を持っています。
相手の苦手な部分、手薄になっているところはないか?
そこを見つけ一丸となれば有利な戦いが出来るわけです。
迂をもって直と梨、患をもって利となす。
回り道をするように見せかけて敵を利益でつりぐずぐずさせておき、相手よりも後から出発して
相手よりも先に着く(遠近の計)相手の裏をかくことが重要ということです。
窮寇には迫ること勿かれ
臨機応変に戦うことを説いています。
高いところの敵は攻めてはいけない。
丘を背負って向かってくる敵は迎え撃ってはいけない。
誘いには乗ってはいけない。
母国に帰る敵を引き止めてはいけない。
包囲しても逃げ口を作り敵をあまり追い詰めてはいけない。
必死は殺され必勝は捕虜になる
決死の覚悟でも駆け引きを知らなければ殺され、生きることばかり考えていれば
勇気に欠けて捕虜にされ、気が短いと計略におち入り、清廉潔白も同様。
兵士を愛すれば兵士の世話で苦労する。
鳥の起つのは伏なり
伏兵のいる印を説いています。
何がが起きるときは必ず予兆があります。それを的確につかみ注視すべしと言っています。
卒をみること愛子の如く、ゆえともに死すべし
兵をわが子のように万事気をつけてみていくと兵もまた谷底であってもついてこれる。
部下を大事にする戒め。
呉越同舟
敵であっても同じ目的のために手を取り合うということ。
業界内ではライバルでも、会社を合併したりすることもあります。
また更なる飛躍をねらってライバル同士手を組むことがありますね。
主は怒りを持って師を興すべからず
個人的な感情で意思決定するものではありません。
百金を愛んで敵の情を知らざるは不仁の至りなり。
情報はいつも武器になります。的確な情報を必要なお金を惜しむと結果として何倍も何十倍も
損してしまうことになる。
善く戦うものは人を致すして人に致されず。
戦い上手な人は相手を思うままにして相手の思うようにされない。
善く戦うものは、勝つ易きに勝つ者なり。
戦いが上手な人は、勝ちやすい機会を捉えて勝つ。
必ず全きをもって天下に争う
必ず全て無償のまま、獲得する方法で天下の勝利を狙う
算多ければ勝ち、少なければ勝たず。然るをいわんや算なきにおいてや
計略が多いほうが勝ち、少なければ勝てない。
あらゆる知略を使い勝つことである。勝ち目がない様なものに
戦うというのはとても危うい。
百戦百勝は善の善なるものに非(あら)ざるなり。戦わずして人の兵を屈するは、善の善なるものなり。
百たび戦争に勝っても最高に優れているものではなく、戦争しないで相手を屈服させるのが最上である。
兵とは詭道なり。
元々は戦争について書かれたものですから、仲間の命、国を守るためには相手を
騙してでも勝つ必要があるので
欺いても勝たなければ意味がない、ということにも取れますね。
孫子の兵法でも役立つのは戦わずして勝つ。
ということは特筆できるかなと。
負けない戦いということと準備がとても大事なことということが分かりますね。
石川博信
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