偉人の仕事術 日本の知恵の神様 オモイカネ
公開日:
:
最終更新日:2017/09/05
巡礼記
市原市にある戸隠神社にも祀られているオモイカネミコト
長野県にある戸隠神社や東京では気象神社でも祀られています。
オモイカネという神様は「思金神」とか「思兼神」と書かれたりしますが、
他にも「八意思金神(やごころおもいかねのみこと)」などでも表現される。
人の叡智の理想像とも言える知恵の神様で本居宣長の「古事記伝」では
「数人(あまたひと)の思慮(おもいはかる)智(さとり)を一人の心に
兼ねもてる意なり」と伝えています。
数多くの人の叡智をまとめて一身に集めているというのがオモイカネという
意味であるといえます。
オモイカネを偉人の仕事術で登場させたのは、神代の時代も現代同様に様々な
変革の歴史であった。
その際にどの様な方法で解決し決断をしたか?
オモイカネが衆知の叡智であると考えると分かりやすいのではないかと考えます。
オモイカネが神話の世界で登場してくるシーンは結構ありますが、一番有名な話として
アマテラス大神の岩戸隠れの際に岩戸の外に連れ戻す知恵を授けた
アマテラス岩戸開きの様子
この少し前にアマテラスとスサノオの誓約があり、スサノオが勝ちその後乱暴狼藉を働いたので
アマテラスが嫌になり、岩戸にこもってしまった。太陽神のアマテラスが岩戸に引きこもったことで
世は暗闇になってしまった。これでは困るということで八百万の神々が天安原に集まり会議をし、
オどうしたらアマテラスを岩戸から出せるか?オモイカネに相談しようということになりました。
オモイカネはここで一計を謀ります。
まず祭りをしよう!
としたのです。
これは、順序だてていきますが、岩戸を表からあけるのは難しいので、アマテラス側から開けさせようと
考えた点がまず良く出来ていますね。外からではなく中から空けさせる。まず、そこに策を集中します。
更に、アマテラスが中から開けてきたらそばに、タジカラオトコを潜ませておいて一気に表に出してしまい、
更に、その岩戸を二度と使えないようにタジカラオトコがほうり投げます。さらに岩戸には二度と入られない
様に結界をはる。その準備をしたうえで、早速祭りを始めます。
まず、常世の国から長鳴鳥を持ってきて泣かせ(常世の国は海外と考えられます)珍しい鳥の鳴き声で
アマテラスの興味を惹こうと思ったのでしょう。さらに
鍛冶の神であるイシコリドメに鏡を、玉造の神のタマノオヤノミコトには玉創らせた、鏡と玉を榊にくくり、
楮(こうぞ)で編んだ木綿で玉ぐしを創ります。
鏡はアマテラスに自分の映った姿を見せて驚かそうとした。
そして祭りで盛り上がるということは、アマテラスにはなぜ自分がいないのに楽しそうなんだ?と思わせる施策です。
言葉の神様のアマノコヤネが玉串をふり祝詞を読んでいる際に、アメノウズメがストリップショウーを初めていくと
場が盛り上がっていきます。
何だろう?とアマテラスが少し覗き込むとアマノウズメが
「あなたより偉い神様が出てきたので皆でお祝いをしています」
というと、アマテラスはますます外の様子を見たくなった。岩戸を開いてみようとしたら
正面に写る自分の鏡姿に驚いているとその隙にタジカラオがアマテラスを岩戸から引きすりだし
て再びアマテラスは世に出ることになった。
因みに、岩戸で開いた石はタジカラオが外に投げて長野県の戸隠神社まで飛んだという。
神社でも石が祀られている。
オモイカネの岩戸開きが教えてくれること
無理に引っ張りだすのではなく、
興味を持たせて出てきてもらう
出てきたら必ずチャンスをつかむ仕掛けをしておく
お祭りというやり方でまた世に明りを取り戻した。
出雲の国譲りで活躍
天津神(天にいる神様)は国津神(地上にいる神様)で国を治めていた大国主
に国を天津神に譲るように言います。
何度か使者を遣わしても中々上手くいかず、最後には武神であるタケノミカヅチを
遣わし武力を背景に国譲りを成功させています。
このときはオモイカネも人選に2回失敗しており3度目の正直で国譲りに成功しています。
これは人選というのは神様であっても難しいという示唆
ではないか?
と、捉えることが出来ます。国譲りの目的自体はより国を良く納める為です。
それにふさわしい人選というのが如何に難しいか?ということで
最後の武力を背景というのは最終手段であったとも見ることが出来ます。
天孫降臨でも活躍
アマテラスから孫のニニギが葦原中つ国(日本)へ天から降りる際にも
オモイカネは随行しています。
アマテラスは孫で後継者のニニギに国譲りがなり、以前から統治すべき
葦原中つ国を治めることになった。
そこでオモイカネには「政事(マツリコト)」の実務を行った。その後
信濃の国に降り立ち、秩父の国造にもなっている。
叡智の集合ともいえる知恵の神様オモイカネは、時代の節目や大きな問題では
活躍していますが、先の国譲りの人選では失敗もしており
叡智の集合、民意とも言うべきものであっても間違いはある示唆では
ないかと思う。
偉人の仕事術 オモイカネでした。
石川博信
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